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飯尾潤(2007)『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』中公新書

総理を中心とした合議体であるはずの内閣が、大臣が各省官僚の代理人化することで、それぞれ拒否権をもつ合議体となってしまい機能不全に陥る。これを「官僚内閣制」と呼ぶ。

議会が行うべき業界団体、地方公共団体その他さまざまな団体や組織の要求や利益誘導を、各省がチャンネルとなり媒介する。これを「省庁代表制」と呼ぶ。

日本では、本来一体であるはずの政府と与党とがそれぞれ異なる見解を公表することがままある。政権政党は自らを「与党」と名乗り、政府とは異なることを強調する。こうした仕組みを「政府・与党二元体制」呼ぶ。

当選回数に応じたポスト配分等により与党政治家の人事が制度化されることで、政治家の関心が地元への利益誘導等に関する行政運営や政策実施に集中し、大規模な政策転換や制度改正には向かない。官僚が政治的となり、政治家が行政的になるという逆転現象が生じ、全体的利益への関心が薄くなる。

過去の自民党政権においては、頻繁な総理、内閣の交代が「擬似的政権交代」として作用した。世間に政権交代したかのような錯覚を覚えさせたのと、政策的にも一定の方針転換が図られた。また、野党にも法案審議への一定の影響力を持たせることで、ガス抜き的に野党支持者を満足させた。こうしたこと等から自民党による長期政権が継続したが、政党は御用聞き政治家の集まりとなり、大きな政策の方向性を示し大規模改革を行う等の政党本来の機能を失った。

諸外国を見ると、イギリスは小選挙区制効果の二大政党制により首相に権力を集中する制度であり、アメリカは大統領と上院・下院とで権力を分立させる制度である。フランスは外交・安保は大統領、内政は首相・内閣、といった半大統領制、韓国は大統領の人格的な統合に期待する強力な大統領制である。

今後、日本においては、首相候補と一体としての政党を当該政党の政策の大枠を示したマニフェストにより選挙で選ぶ、つまり「権力核」を選挙で選ぶことが重要である。

権力を内閣に一元化する議院内閣制と二院制との間には制度的な緊張関係がある。参議院は、憲法改正や死刑制度等々長期的かつ超党派的な政策に係る議論を深める等、衆議院とは異なる独自の機能・役割を担うべきである。

政党は、社会のさまざまな要望や意見を集約し、政策を体系化し、提示するという最も重要な役割を果たすべきである。